弁護士 豊崎寿昌

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非弁の陥穽

2005年11月19日

非弁の陥穽

民主党の西村真吾議員の法律事務所元職員が、弁護士法違反で立件された件ですが、報道を見る限り、なかなか根が深そうですね。

「西村法律事務所」名乗る 無資格で活動、元職員を摘発
民主党の西村真悟衆院議員(57)=比例代表近畿ブロック=が弁護士として開いていた法律事務所の男性元職員(52)が、退職後も弁護士資格がないのに事務所長を名乗って弁護士活動を行い報酬を得ていたとして、大阪府警が弁護士法違反容疑(非弁活動)で書類送検、西村議員からも事情聴取していたことが十七日、分かった。元職員は西村議員の印鑑などを使用、報酬の一部が法律事務所に流れたとみられるが、西村議員は関与を否定したもようだ。

弁護士法72条は、弁護士以外の者が報酬目的で他人の法的紛争の解決に絡むことを禁じています。

弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

今回の事件はこの点が問われたわけですね。「退職後も」、つまり西村真吾弁護士の法律事務所と何らの関係もなくなっても、弁護士しか扱えない示談交渉を行って報酬を得ていたことが問題とされたわけです。

しかし、上記記事を読んでいくと、けっこう「え?」と思うような事実が出てきます。

西村議員事務所の説明では、西村氏と元職員は十年に知人を通じ知り合い、法律事務所の事務職員として採用。保険金請求などの事務業務で、保険金の10%にあたる報酬のうち半分を給与として渡していた。

弁護士報酬の半分が事務職員の歩合給??ですか。これだけ見ると、実際は職員時代から、この元職員に保険金請求・示談業務を丸投げして、事実上非弁活動に近い状態だったのではないかとも危惧されます(そうでなければこのような給与の定め方は普通しないでしょう)。

また別の記事によると、

西村氏によると、鈴木容疑者と知り合ったのは平成十年。政策秘書から「保険金請求事務に精通していて、彼に事務をやらせたらどうか」といわれ、西村氏本人が面談した。その際、鈴木容疑者は「先生の法律活動に貢献できる」と話し、保険金請求業務に詳しいことをアピール。それをみて、仕事を任せることを決めたという。

 一方、鈴木容疑者は東京に本社がある「第三通信社」の社主でもあるとしていた。

 その人脈を生かし、西村氏の事務所に入る保険金請求の事案は飛躍的に増えたという。西村氏自身「ネットワークの広さに驚いた」といい、事務所に入る報酬額は、年間で五百万円ほどだったという。

事務職員の「人脈」で、弁護士の事件依頼が増えるというのは、あまり聞いたことがない話です。

サンケイの記事ばかりですが、

元職員を通じて多くの依頼があったが、非弁活動で過去に立件されたことが判明。受任した事件が終わり次第、雇用関係を打ち切ることにした。「忙しくて(事件の)点検ができないのに、やらせるのはいけない」と決断したという。

要するに、「丸投げ」を自白してしまっているような………という気もしますが。大丈夫なんでしょうか?

日時 :
2005年11月19日 23:46
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(とよさき としあき)

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  • 東京弁護士会所属
  • 由岐・豊崎・榎本法律事務所(東京・八丁堀1丁目)パートナー

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