弁護士 豊崎寿昌

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リボ払い最高裁判決

2005年12月15日

リボ払い最高裁判決

本日、リボルビング払い方式であっても、貸金業法17条1項に規定する書面(=契約書、借用証書等)に「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」の記載は必要であるとの最高裁判決が出ました。

貸金業法では、利息制限法を超える約定利率(多くの消費者金融がこれ=年29.2%等)が認められるためには、貸し付け、返済の都度、法定の書面を交付している必要があり、これを満たさなければ利息制限法の上限利率(10万以上100万未満では年18%)しか認められません。

クレジットカード等のキャッシングに特に多いリボルビング払いは、約定期日ごとに最低限の返済額が定められてはいますが、具体的にどうやって返すかは、利用者の任意のため、業者側で「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」を作成することには意味があるのか、が争われたのが今回の事件です。ま、もっと有り体に言えば、リボルビングの場合、借り入れもATMで行われる場合がほとんどで、ATM上で発行されるレシートに「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」を記載することは、かなり無理があるというのが業者側の言い分でしょう。

しかし、このような言い分は、貸金業法の解釈を緩和しなければ通りようのないものですので、貸金業法を厳格に解する立場の最高裁が否定したのは当然です。

ただ、今回注目されるのは、最高裁が、なぜ17条書面の記載を厳格に解する必要があるのかについて判示した部分です。

「17条書面に最低返済額及び経過利息を毎月15日の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等の記載があれば,借主は,個々の借入れの都度,今後,追加借入れをしないで,最低返済額及び経過利息を毎月15日の返済期日に返済していった場合,いつ残元利金が完済になるのかを把握することができ,完済までの期間の長さ等によって,自己の負担している債務の重さを認識し,漫然と借入れを繰り返すことを避けることができるものと解され,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準じた効果があるということができる。」


17条書面の立法趣旨が「自己の負担している債務の重さを認識し,漫然と借入れを繰り返すことを避ける」ためだという最高裁、いやーよく言ってくれました。

日時 :
2005年12月15日 23:02
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(とよさき としあき)

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  • 東京弁護士会所属
  • 由岐・豊崎・榎本法律事務所(東京・八丁堀1丁目)パートナー

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