弁護士 豊崎寿昌

2254501

誰が正義を行うのか?

2001年09月13日

誰が正義を行うのか?

一昨日夜からアメリカの同時多発テロの件で騒然としていますが、だからといって仕事を放り出してテレビにかじりつくわけにも行かないのがつらいところですね。

まあ、こんな感想が出てきてしまうこと自体、私も「平和ボケ」している証なのかも知れませんが、気になるのが、ブッシュ大統領が繰り返す「報復」の中身です。

「世界の警察官」を自認するアメリカのことですから、今回の事件に対しては何としても自ら報復を行いたい衝動が起こることは理解できますが、被害者が警察官の役割を果たすことはあまり賢明とは言えません。

アメリカの標榜する「自由」と「民主主義」の適用される近代市民国家は、皆私的報復を禁止し、国家が刑罰権を独占的に行使することで社会秩序を守ることが前提となっています。国家が正義を行うことで、人権と手続的正義が守られつつ、被害者の応報感情も満たすことを狙っているのです。

もちろん、今回のテロはいかなる目的であれ決して許されるはずのない蛮行であり、いわれのない被害を被った方々の悲しみと怒りは察するに余りあります。そして被害者が報復感情を持つこと自体は自然の感情です。

しかし、そこでアメリカが単独で報復行動へ暴走していけば、それは単なる私的報復=敵討ちであり、犯人がいかなる相手であれ、報復によってアメリカは犯人と同じ次元に落ちてしまうのではないでしょうか。

「自由」と「民主主義」によるグローバリズムを標榜するアメリカだからこそ、今回の事件に対しては、国際社会の連帯の元に犯人の摘発と処罰を求めるべきではないでしょうか。国際連合を動かすなり、国際法廷の設置を提唱するなり、アイデアはあるはずです。NATOでの集団安全保障のレベルでは、テロリストを対等な戦争相手と認めることになってしまいます。

さて、日本。さっそくアメリカ支持を打ち出したのはいいですが、例によってその後に憲法の枠内でとか、泥縄式の有事法制の検討とか、結局いつもの無策ぶりをさらけ出しているように見えます。

日本国憲法の精神に立ち返るならば、アメリカの被害に対し、国際社会への連帯による解決を呼びかけることがベストではないかと思いますがね。

日時 :
2001年09月13日 23:24
メニュー :
業務日誌 > 報道された事件に対する意見

弁護士 豊崎 寿昌

(とよさき としあき)

弁護士 豊崎寿昌

  • 東京弁護士会所属
  • 由岐・豊崎・榎本法律事務所(東京・八丁堀1丁目)パートナー

Copyright © 2001-2005 由岐・豊崎・榎本法律事務所 弁護士 豊崎寿昌 All Rights Reserved. Powered by Movable Type